2015年2月13日金曜日

東京シクロクロス2015とShimano BR-R785 hydraulic brake

お台場で行われた東京シクロクロスを観戦してきた。今回で3回目の観戦ということもあって、ロードバイクというか、自転車の世界に嵌まってきているなと実感している。どういった選手が活躍しているのかもある程度分かってきたし、シクロクロスの面白さが深まってきたのかも。

当日は雨が降るような天気だったので、暖かいうどんを食べた時点で自宅待機になりかけたんだけど、トップレベルの走りを生で見たかった意志が打ち勝つことになった。レースを見て良かったと思う。シクロクロスをやってみたいという衝動に駆られるのと同時に、機材の消耗と汚れが激しすぎるのでハードルが高いかな考えてしまうのだが。

シクロクロスで参考になると思ったのは、優れたボディバランスとバイクコントロールで、パワーに頼った部分だけではないところ。上位選手は、砂浜や水たまりのある悪路を走り抜けるのがうまい。出場しているのはエリート選手になるので、全員が上手いのは間違いないんだけど、数メートル先まで乗車して走行できる選手と、降車して走る選手で差が少しずつ拡がっていく感じだった。

ペダリングに関しても上位選手は上手いということが見てわかる。上位選手は砂浜でもトルクが途切れることなくスムーズに進んで行く感じだった。砂浜で苦しむ選手の走りは、グッ、グッという感じで踏んだ時にしか力が伝わっていない感じ。タイヤに伝えるトルクのムラを無くすペダリングが理想的であることを改めて思う。こういうのってシクロクロスに限ったことではなくて、ロードバイクでも重要になるんだろうな。実際にできるかどうかは置いておいて、タイヤに伝えるトルクのムラを無くす走りのイメージを持つことにしていこうかと思った。

ここから本題で、表彰式を見終わって、すぐに帰ろうかと思っていたところに、レースで使われていたバイクを洗浄している現場に遭遇することになった。レースを観戦している時は気にしていたわけではなかったんだけど、どんな機材を使っているのかなと思って観察してみると、コンポは昨日の試乗会で試乗したTarmac discに使われていたものばかりで、他のコンポを見てみるとスラムのようだった。

どうやら、シクロクロスで使われているディスクモデルのコンポは、シマノとスラムの2つになっているようで、スラムのパーツは何なのかは分からなかったんだけど、シマノのコンポは先日の試乗で見たBR-R785 hydraulic brake そのもの。このシフトとブレーキって、完全に実用化されているだけでなく、シクロクロスのような過酷な使い方をしても問題がないくらいに信頼性と性能があるということなんだなと強く実感。

シクロクロスはロードバイクに比べると速度域がそれほど高いわけではないので、カンチブレーキが使われていてもブレーキ性能としてはそれほど問題はないのかなと思っていただけに、これほどまでにBR-R785を使う選手が多かったことが意外だった。BR-R785は、シクロクロスのコンポとして不動の地位についてしまっている感じで、これをカンチブレーキに戻す選手は少なそう。きっと、ブレーキパワーだけでなく、ブレーキコントロールも申し分ないということになるのだろう。

「ロードバイクにはディスクブレーキのような強力なものは必要ない」といった意見が頭の中にあったのだが、「強力なブレーキを必要としていないシクロクロスのレースでさえ、多くの選手がディスクブレーキを選択している事実」を素直に受け取ることになるとは思っていなかった。シクロクロスのトップ選手達にほぼ受け入れられている状況を見る限り、Tarmac discの試乗でいいなと感じていた自分の直感はこういうことだったのかと思ったな。

ブレーキパワーをそれほど要しないと考えていたシクロクロスですら、ディスクブレーキ化になっていることを考えると、ロードバイクのディスクブレーキ化の普及もすぐそこまで来ていると強く感じる。BR-R785は電動シフトも兼ね備えているわけだし、過酷な環境であっても使いこなせるほどの信頼性もあるわけで、現時点においての最高レベルのコンポと思える。Tarmac discの試乗で感じたことは、リムブレーキとの圧倒的な違いだったし、シクロクロスのレース現場の機材を見ても改めてそう感じざるを得ない。

UCIがロードレースでディスクブレーキを認可するようになったら、BR-R785が一気に普及するようになるんだろうな。認可が先延ばしされるとしても、BR-R785の後継モデルになると思えるし。油圧式ブレーキ+電動シフトの組み合わせが今後のスタンダードになっていくような気がしてくる。

ディスクブレーキ化によって、一本のフレームでシクロクロスやロードバイクを楽しむことができるのではないかという期待を抱くことになった。コンポをBR-R785にしておけば、どちらでも問題はないだろうし、ホイールも物によっては共用できるだろうから。たまにはオフロードも走ってみたいと思うような自分からしてみれば、どちらにも使えそうなフレームがあったらいいなと思う。

それにしても、自分が想定している究極のコンポが既に存在していて、製品化されているだけでなく、シクロクロスでの過酷な使用にも耐えるものであることを理解すればするほど、BR-R785が最終的なターゲットになるということを思わずにはいられない。自分としては、デュラエース(あるいはスーパーレコード、スラムレッド)が究極ということではなく、BR-R785が究極なのだから。これを知ってしまうとリムブレーキは過去のものになってしまうぐらいに強力な性能なわけだし、2台目のフレームはやはりディスクブレーキを念頭に入れておいた方がいいのかも。

BR-R785を試乗してしまうと、これは明らかに別物ということがすぐに分かるだけでなく、あのブレーキフィーリングをしばらく忘れられないぐらいの強烈な印象があった。一方で、ハイエンドモデルの試乗でフレーム性能を色々と比較してみても、重箱の隅をつつくような形で比較になるというか、結局は好みで選べばいいんじゃないのって思ってしまう状況で、しばらくすると印象を忘れてしまう感じ。フレームを変えたとしても、性能が僅かに異なる程度なんだろうけど、ディスクブレーキに変えると、性能は大きく変わっていく感じで、自分の中では既にブレーキディスクとリムブレーキの勝負は付いてしまった。

Dura aceが進化し続けることになってブレーキ性能が強化されることになったとしても、リムブレーキである限りはBR-R785に及ぶことはまずないだろうと思えるぐらいの性能差。一昨年あたりから、ハイエンドモデルのディスクブレーキ化が活発になった理由がよく分かった気がする。BR-R785の圧倒的な性能を生かすフレームが必要になるとメーカーは感じたのだろうから。自分のような一般人ですら分かりやすい性能差なのだから、開発担当者がBR-R785を試乗すれば今後の可能性にすぐに気付くよな。

ディスクブレーキ化によるデメリットを考えても意味はないと思っている。重量が重くなるだとか、リムブレーキバイクとの互換性がないってことがデメリットだと言われているようだけど、それは見当違いになるだろうなと思う。ディスクブレーキモデルであっても、6.8kgの重量規定を満たすモデルがそのうち出てくるだろうし、これより軽い物を求めている人達というのは、そもそもあらゆる手段を講じて減量化に取り組んでいるようなものだから、もとからディスクブレーキの選択肢を必要としていないわけで、これを一般論にしてしまうかのような形でデメリットというのはなんだかね。全てが別物のバイクなわけだから、互換性を求めるのもずれている感じがする。

ブレーキローターの過熱も心配することはないと思う。リムブレーキのイメージだと下りで延々とブレーキレバーを握り続けるシチュエーションが思い浮かぶんだけど、ディスクブレーキは効きがいいから、ブレーキレバーを握り続けるイメージが湧かない。

ブレーキの音鳴りもそれほど気になるわけではない。確かにリムブレーキの方が音が静かだということはわかるけれど、リムブレーキだと音鳴りしないという意見に賛同できない。だって、リムブレーキで雨の中を走行するとリムがデコボコになって、それ以降は音鳴りがしてしまうのだから。リムを削るか、ホイールを交換しない限り、元には戻らないからね。あくまで晴れの日限定で使い続けるホイールと比べて音鳴りがするってことなら分かる。新品状態で音鳴りを気にするよりも、それなりに使った時の状態で音鳴りを比較すべきだと思った。個人的には、ロードバイク購入してから初めて雨の中を走った後に、ボロボロになったリムの状態を見て、元には戻ることは不可能で、今後はブレーキの擦れる音と付き合うことになるんだな、というショックがあったので、リムブレーキだから音鳴りがしないなんて思ってはいない。音が静かなのは新品状態の最初の時だけだという認識の方が強い。

仮に、2台目のバイクをこれから購入することを考えてみるとさ、結局、リムブレーキモデルであっても50万円近くしてしまうし、そこからもっと良いパーツを考えると、さらに価格は跳ね上がってしまうわけで、だったら、最初からBR-R785が搭載された完成車を選んだ方がいいんじゃないのって思う。電動デュラエースと比べてそれほど高価格だとは思わないし、その価格差の違いはあるかと言われれば、どうしようもない差があるとしか答えられないからね。

BR-R785の乗り味を知ってしまったことはある意味で後悔することになるのだろう。これを知ってしまうと、2台目としてハイエンドのリムブレーキモデルのフレームを選ぶよりも、もうこっちでいいじゃんって思ってしまうぐらいに強力な印象なのだから。ブレーキはデュラエースの方がいい、エグザリットは効きが良い、カンパニョーロのブレーキフィーリングは絶妙なんて言い方は、BR-R785の前では過去のものになってしまう気がした。
















0 件のコメント:

コメントを投稿