<ロードバイク乗りは2種類に分けられる>
ロードバイクに乗り始めてから3年目となる自分が気付いたことを取り上げてみたい。今の自分が気付いた点は、ロードバイク乗りというのは、次の2種類に分類されるということ。(1)レースを中心に考えている人
(2)サイクリングを中心に考えている人
そして、次の事項も重要な点になるかと思う。
・機材の性能
・機材の価格
・平均速度、走行距離などの指標の記録
・自分の経験と他者の経験との違い
<背景>
まず、自分の背景にあるものを言うと、ロードバイク購入前に参考にしたのはネットと雑誌が中心だった。購入前に気になったのは、ロードバイクの取り扱いや性能についてだったわけで、雑誌などの宣伝とネットでのユーザーのコメントを気にかけていた。購入後もしばらくは雑誌やネットの情報を参考にするようになったのだが、当初はロードバイクはこういうものなのかと、そのまま情報を受け入れていた。ロングライドをするようになってからは、ペダリングスキルや身体トレーニングに関する情報収集が中心となり、機材についても気になってきた。これは誰もが経験する話になると思う。雑誌やネットでの情報も「なるほど」という感じで色々と参考にするようになった。行き先で見かける他者の機材が気になってくるのもこの頃だったかと思う。
ロングライドで峠を走るようになると、最初の疑問にぶち当たることになった。自分のバイクの性能は低いのではないか?という疑問。とてもじゃないけれど、勾配のきつい上り坂を何キロも走り続けることはできないと思ったし、これで、本当に10%以上の勾配を登る人達がいるのか??っていう感じ。
<ロードバイク乗りに対する疑問>
ここで問題になるのは、ネットの情報を探せば探すほど、自分の登った峠は大した勾配ではなくて、ロードバイク乗りであれば登れるのが普通であるかのように公開されている点。コンパクトクランク、スプロケ30tなんて必要とされていないかのような情報に影響されることになった。スプロケ30tについては「乙女ギア」なんて呼ばれていたりするし、ロードバイク乗りからすると忌避されているかのようなパーツに見えるぐらいに。ノーマルクランクやスプロケ25tが何かの基準になっているかの印象。ディープリムが気になるようになってから色々と調べてみると、35km/h以上でなければ効果がないといった情報が多くて、脚力のある人でなければ使えないというコメントが多いことに気付いた。自分のような初級者には使えない代物なのかと思ったぐらい。エアロの効果に関してもポジティブな意見が多いわけではなく、横風や重量に関するネガティブな意見が多い。そして、乗り方に不慣れな初級者に対して警鐘を発しているような情報もある。
ハイエンドバイクについては、価格が100万近くすることもあって、自分からすれば単純に凄いなと思うわけだが、ロードバイク乗りの心理には「ハイエンドモデルに見合った脚力があるのか?」という疑問が常に突き付けられているようなイメージ。ハイエンドモデルに限らず、高額なホイールも同じような見方をされている感じを受ける。
今のラインナップには、いわゆるコンフォート系のモデルが揃っているわけだが、このコンフォート系に対してもネガティブな意見を持っているロードバイク乗りも多いようだ。こういった人達からはジオメトリーがどうのこうのという話が出てくるかと思う。本格的にやっている人達から見れば、理解できないモデルということになるのだろう。実際に、自分が乗っているキャノンデール・シナプス・アロイに遭遇したケースはほとんどないし、初心者も含めて、コンフォート系を選ぶ割合は少ないのではないかと思える。
<初心者が持つロードバイクへのイメージ>
色々な考え方があるので、様々な背景を元にしてそれぞれ初心者がロードバイクを購入するようになるものと思うが、某掲示板のQAを見ていくと、初心者が持つロードバイクへのイメージは次のようになるかと。(1)速いスピードで走行できる。
(2)長距離を移動することができる。
(3)価格が高い。
(4)良い運動になる。
自分が購入する動機となったのは、ランニングが嫌なのと、遠出することで良い運動になると思ったから。何十キロ先まで自分の力で行くことができるのは、達成感があるものになるし、初期費用が掛かってしまう部分は仕方がないけれど、ゴルフやスキーと異なり、1回の運動は無料になるので、案外安く済むスポーツになりそうだと思っていた。
当初は、興味本位で始めるようなものだったし、いつまで続くか分からない状態だったので、エントリーモデルでいいかと思っていたわけだが、バイクの価格で悩むことになった。迷っていたバイクは、CAAD8、CAAD10、Synapse alloyの3種類。エントリーモデルでいいやと思っていたところで、CAAD10を持たせてもらったら、その軽さに感動してしまった。ただ、当時の考えとしては、20万円はあまりにも高すぎた。
価格を考えると、CAAD8かSynapse alloyの二択となり、コンポのグレードをティアグラに決めてみると、Synapse alloyの方が1万円安かったので、ここでSynapse alloyに流れていくようになった。今思うと、1万円の価格差をかなり気にしていたような気がする。色々と調べてみると、ロングライドと乗り心地を重視した性能と書かれていたので、これぐらいが自分にはちょうどいいかなという感じで購入を決めることになった。
乗り始めた当初は、購入前のロードバイクのイメージのとおりだということを実感できていたわけだが、公道で他のロードバイク乗りを見比べていくにつれて、(1)と(2)のイメージが実際の自分の実力と、ネット等の情報で得られたものとかなりの開きがあることに気付くことになる。最初は50kmを走行するだけでもハードな運動だったし、これでもロードバイク乗りを名乗ってもいいのかなと思っていたのだが、100kmのロングライドを余裕でこなしている人達を見てしまうと、(1)と(2)はイメージしていたものと違ったんだなと感じた。
結局のところ、自分がママチャリに乗る時と比べて、速度が出やすいし、長距離もこなせるということが真実だった。ロードバイクに乗ったからと言って他者よりも速くなるわけではない。ここに、ネットや雑誌でみてきたことと大きな違いがありすぎると思ったな。だって、ネットでは40km/hの速度は簡単に出せるとあるし、ユーザーのコメントや記録を見ても、それぐらいは出せそうな気がしてくるような情報が多いから、自分もそういった感覚に陥りやすくなるのではないかと思った。
<ネットで見かけるロードバイク乗り上級者の共通事項>
確かに、自分の実力が不足していたことは間違いないが、ネットで見かける内容では、「平均速度〇〇で100~200km走行してきた。〇〇峠のタイムは◇◇で、いつもより乗れていなかった。反省点は~~」と言った内容が多いように思える。タイトルもそうなんだけど、自虐的な言葉を使っているケースが多いように感じる。「これではまだまだ足りない」とか「誰誰さんはもっと速かった」とか「出力はこのぐらいしか出せなかった」とか「次はもっと上を目指したい」とか。彼らはブログ上で「上級者」という言葉を用いないので、当初はロードバイクに乗ればこれが普通の数値かと思っていたんだよね。そのうち自分も近づくレベルになるのだろうか、なんて思ってた。明らかな初級者のブログと見分けがつかなかったんだ。初級者のブログでは、走行距離や平均速度をあまり載せていないので、余計に判断がしにくかった。
1年目はそれほど有名な峠に行っていたわけではないので、ネット上の話はよく分からないものだった。だから、これらのブログに示された平均速度と走行距離がとんでもないことに気付くことはなかった。しかし、2年目になって、それなりに勾配のある峠に行くようになると、それがオカシイ数値だとようやく気付くようになった。自分がやっと登れるような峠を簡単に登れる人達は普通じゃないと強く思うようになったわけだ。
ネットで見かけるロードバイク乗りの共通事項として、自慢をするような内容は一切なく、常に自分に妥協しない姿勢。こういったブログに感化されてしまうと、平均速度が25km/hでも遅い部類になるだろうし、巡航速度も30km/hが余裕でなければ普通じゃないと言った考えを持つようになってしまうのではないだろうか。機材への拘りも普通じゃないのだが、何故か、ハイエンドモデルについては自分の実力を卑下するかのような発言ばかりで、「このバイクの性能に見合う実力が必要」とかね。
速度に関しての実態としては、平均速度25km/hというのは、走行時のサイコンメーターが30km/h前後であるような状態でひたすら走り続けて出てくる数値。信号などの停止がある場合には、さらに走行時のサイコンメーターの数値を高くする必要があるので、市街地で平均速度25km/h以上を出そうとするのであれば、サイコンメーターでは35km/h近くの数値を出す必要があると思える。「信号で停止がなければ平均速度は上がる」なんて言っている輩もいるようだが、平均速度を上げるのはそんなに生易しいものではない。信号停止による休憩によって、サイコンの計測が止まるだけでなく、体力が回復することを忘れている。実際にサイクリングロードを休みなしでひたすら走る時の辛さを噛みしめれば、信号停止の有難さが重要だと思えるはず。
3年目の自分の実力としては15分間であれば、なんとか30km/h以上の速度を出せるといったところ。ただし、向かい風の場合はこの速度を維持できないし、逆に追い風ではどうなのかと言えば、15分間も維持できるルートが荒川サイクリングロードしか存在しないので、一般道ではどうなのか分からない。荒川サイクリングロードですら、県道を跨ぐ時に停止するわけで、周回路でない限り、他にはそんなルートはないのかも。向かい風や追い風、登り基調や下り基調による影響が反映されるので、普通に走っていてサイコンの速度が30km/h以上になったときに感じるのは、今は追い風なのかなとか、下り基調なのかなと言った感じになる。逆に普通に走っているのに30km/h未満の場合は、向かい風か登り基調になるわけで、サイクリングロードにしろ、峠を目指すロングライドにしろ、要は理想的な平坦で無風の状態なんてあり得ないということをつくづく感じる。そういう理想的な状況というのは屋内でしか存在しないのではないだろうか。
サイクリングロードでの平均速度と、峠を目指すロングライドの平均速度は別物になるので、両者は比較の対象とすべきではないと考えている。ところが、上級者の峠を含むロングライドでは平均速度が25km/h近いものになっていて、これって、要は自分がサイクリングロードを駆け抜けるペースで峠を通過していく感じになるんだよな。自分から見れば、異次元の世界。
ロードバイクの購入を検討している人を含めて、初心者にはこういった上級者のブログが少なからず影響を与えていると考えている。そして、こういった指標が少なからずロードバイク乗り全体の心理に影響を与えていることになっているのではないかと。
自分が思うのは、こういったレベルの人達は、サイクリングなんてレベルではなくて、レースに出ることを前提にした人達だということ。そうでなければ理解できない。だって、理想としている数値が高く設定されているし、満足することがないわけだから、これって要は競技選手の考え方ってことになるのではないかと思うね。
厄介なのは、こういったレベルの話とレースに出ない輩が、サイクリングを中心に考えている人に色々と話をしてくることになること。レースを目的にしているのであれば、目標としている数値は達成できる数値ではダメだろうし、常に目標は高くなると思うが、それをサイクリングに当てはめてしまうと、何の話をしているのか分からなくなるんだよな。こういったところで、話を分けることができない人が少なからずいることに対して、ロードバイク乗りの心理が隠されているのではないかと感じる。
<機材の性能とその人の実力が折り合う必要性があるのか?>
自分の考えとしては、最初に挙げた2種類のロードバイク乗りによって、次のとおりになるのかと考えている。(1)レースを中心に考えている人 → ハイエンドモデルを更新し続けて乗った方が良い
(2)サイクリングを中心に考えている人 → 何に乗っても自由
レースを中心に考えれば考えるほど、機材に妥協する必要はないと思うし、バイクの性能を引き出せないなんて考えも必要ない。毎年購入する必要もないと思うけれど、2~3年で乗り換えた方が安心できるのではないだろうか。実力に折り合っていないのであれば、そもそもレース用のバイクに乗れる資格はないとも思えるので、実力に折り合っていないなんて考えることはないと思う。どちらかというと、コストの方が問題になるのかと思う。
サイクリングを中心に考えている人であれば、何に乗っても自由だし、レース用のハイエンドであっても、エントリーモデルであっても何も問題はないと思っている。価格帯についても、その人にとって無理のないモデルを選べばそれでいいわけで、機材の性能どうのこうのについて、深く考える必要はないのではないだろうか。実力があってもなくても特に関係のない話になるだろう。運転経験の少ない人がフェラーリやポルシェに乗っていいのと同じ。安全に乗るのであれば問題はないと思う。
問題は、レースを中心に考えているかのような人。こういった人達がロードバイク乗りには一定数いるような気がしてならない。何故かというと、最近、口論となることがあったのだが、サイクリングを中心にしている自分と意見があまりにもかけ離れすぎていたから。何に乗っても自由という発想はあるようだが、何かと注文を付ける言動になるようだ。「その程度の峠なら~」とか「巡航速度〇〇は軽いだろう」とか「コンパクトだからな」とか。
結局、レースを中心にして、実際にレースに取り組んでいる人であれば、サイクリング思考の人にそんなことは言わないだろうし、サイクリングを中心にしている人同士であれば、機材はなんだっていいんじゃないのってなるし、両者で口論になることはないと思われる。しかし、レースを中心に考えているかのような人達は、素人がハイエンドモデルに乗っていることに違和感を感じるようで、実力に見合ったバイクに乗っていないと黙っていられないようだ。それが、例え、サイクリングを中心にしている人達であってもね。
実力に見合ったバイクが必要なのか?って話になると、自分は全くそう思わない。ハイエンドモデルであっても、エントリーモデルであっても、なんでもいいし、金銭に余裕があるのであれば、むしろイエンドモデルの方がいいのではないかとさえ思っている。まー、実際に自分がハイエンドモデルを購入することになると、盗難や小キズの心配が増えるので、飾っておくだけになってしまうような気がするので、なかなか手を出せないでいるわけだが。
<何故、レースとサイクリングを混同する人がいるのか?>
「ロードバイク=レース」と考えている人は、これから始めるような人達にはそれほどいないと思える。東日本大震災をきっかけにして、自転車愛好家が増えてきたことが背景にあると思うが、今のロードバイクのブームは健康志向で始めている人がほとんどのような気がするんだよね。自分もそうだったわけだし。このことに合わせて、メーカーも初級者向けの機材を準備してくるようになって、ちょっと昔には考えられなかった機材が増えてきているわけだ。昔はノーマルクランクだったわけで、スプロケも25tぐらいで大きいと言われていたことが、ネットや雑誌で知るようになってくると、今の機材と昔の機材では明らかに差があったのだなと思う。この時代からロードバイクに乗ってきた人達は「ロードバイク=レース」だったのだろうし、一般人向けではないこともあって、限られた中でしか市場がなかったと思える。
確かに、一昔前のロードバイクであれば、どのモデルに乗っても、自分のような脚力では乗りこなせないし、乗りこなすようなものにはなっていない仕様だと思う。それに乗っているだけで、一般人ではなく、ちょっとしたレベルの人だろうなと想像はできる。タイヤも今よりも細かったようだし、クリンチャーモデルもなかったのではないだろうか。チューブラーなんて、ますます一般人向けではないわな。
レースに参加していなくても、ロードバイクに乗っているだけで、レースを語れるような気分にさせてくれたのが、当時の状況になるのではないかと想像している。でなければ、「実力に見合った性能のバイク」なんて考えも出てこないと思う。
<ロードバイクの仕様の変化>
自分が思うのは、一昔前のロードバイク乗りは、ロードバイクに乗っているだけで特別であることを感じていたのではないだろうかということ。例え、レースに出ていなくても、乗りこなすだけで普通ではないと思える。当時の状況を考えると、ロードバイクよりも速い自転車なんてなかっただろうから。今よりもロードバイク人口が少なかったわけだから、より特別な感じを受けていたのかもしれない。時代が変わって、誰にでも乗りこなせるような仕様のロードバイクが安価で登場してくるようになると、ロードバイクは特別なものではなくなってきたわけだ。昔のロードバイクの概念とは異なるロードバイクの登場に対して、昔から乗っている人達は何か感じるところがあるのだろう。
でもね、自分から言わせてもらうと、サイクリングに必要な機材を選ぼうとしたら、ロードバイクが選択肢になったわけで、元からレースなんて考えていないし、ノーマルクランクやスプロケ25tが標準装備だったとしたら、サイクリングが苦痛になるだけで、ロードバイクを楽しむことなんて出来なかった。
今のティアグラからスプロケ30tがようやく登場することになったようで、それまでは最高でも28tだったようだ。昔からロードバイクに乗っている人は凄いんだなと思ったりもしたのだが、ある程度の実力がつくようになった3年目にして感じるのは、本当に当時の仕様で色々なところに行けたのだろうかということ。
<行き先を絞れば、ノーマルクランクでもスプロケ25tでも問題はない>
3年目の自分は、コンパクトクランク50-34t(Q-rings)とスプロケ(12-30t)の装備であれば、埼玉県内のどの峠であっても登れる自信がある。タイムはひとまず置いておくとして、無理をせずに登っていく感じでね。コンパクトクランクと30tのスプロケが必要になるのは勾配のキツイ峠であって、平地であればこの組み合わせは必要でもないのかもしれない。ただ、サイクリングで色々な場所に行こうとすれば、必ずこういった峠に出くわすわけなので、平地であってもこの組み合わせに問題はないし、ノーマルクランクに変えようなんて微塵も思わない。おそらく、1年目の自分であっても平地であれば、ノーマルクランクでも問題なく乗れたと思う。自分の住んでいる場所は平地だし、多少のアップダウンも勢いで行けるだろうから、それで問題はなかっただろうという気がするんだよね。問題は、白石峠級の勾配のある登坂。こういうところは本当の上級者しか走れなかったのではないかと思う。だって、自分が免許を取りたての頃に、車で白石峠やグリーンラインの林道を走ったことがあるわけだけど、ロードバイク乗りは全然見かけなかったから。今よりロードバイク乗りが少なかったのかもしれないが、たまにみかける人達は競輪選手のような感じだったので、普通のロードバイク乗りが来るような場所ではなかったんだろう。
結局のところ、行先を絞れば、ノーマルクランクの昔の仕様であったとしても、誰でも乗れるものだったのではないかと考えている。これで白石峠をクリアしているような人であれば、それは別の話で、その人は本当に実力のある人。白石峠にほとんど行かずに、平地や標高の低い峠ばかりに乗っている人達は、今の自分の実力とそれほど変わりがないのではないかと思っている。
<ロードバイク乗りには中年以上が多い>
おそらく、ノーマルクランクの時代を経験している昔ながらのロードバイク乗りは、当時の状況と今の状況を比較して、現実を直視していない人が一定数いるのではないかと思っている。プロと同じ仕様のギア比のバイクを乗りこなしてきた自負があるのかもしれないが、それはそういった仕様で毎週のように白石峠のようなところに行ってきた人達が持つものではないかと思っている。遠出してきたことやキツイ峠を完走してきたことに対して、サイクリングを中心に考えている人にはそれで充実感が得られるはずだし、このことを話し合うことで色々な意見交換ができるわけだが、この昔ながらのロードバイク乗りにとっては、このことが納得がいかないらしい。「ロードバイク=レース」という妄想があって、機材のウンチクやタイムが遅くなることについて、他者にも同じレベルで求めてくるような人達がいるのではないだろうか。
そうでなければ、30tのスプロケを貧脚仕様だといか乙女ギアなんていうことはしないだろう。サイクリングを中心に考えている自分からしてみれば、目的地に達することが目的であって、機材の条件縛りが目的になるなんてことはない。だから、自分で扱いやすい機材の仕様にすることに何の問題もないし、自虐的に貧脚だなんて思うこともない。そんなことを考える必要はないんだよね。サイクリングを楽しむためにはさ。
自分としては、踏むこともできない仕様でロードバイクに乗っている方がおかしいと思う。平地限定とかそういう問題ではない。例え、平地仕様だとしても、最低限、どんな場所でも踏めるような実力がないと話にならないのではないかとね。
上級者気取りになるのもいいけれど、人の機材にあれこれ言ってくる奴には碌な奴がいないと思えるのはまさしくこの部分からきていることであって、ノーマルクランク時代から乗っているような人達に多いような気がしてならない。大体、今の時代に初心者が完成車で買うようなバイクは、そもそもコンパクトクランクであることがほとんどだし、ノーマルクランクなんて、フレームセットで買うような人向けにしか思えないからね。中年であっても、今から始めるような人達であれば、そこまでノーマルクランクに対して特別な感情はないと思えるので、機材に対する思い込みはこういった中年に多いような気がするな。
<ロードバイク歴の長い人の意見は参考になるか?>
今の機材と昔の機材の仕様が大きく異なると思うので、機材に関しては参考程度に聞くぐらいがいいと思っている。よく聞いておいた方が良いと思うのは、過去にトップレベルに近い経歴であって、現在の機材にも精通しているような人。トレーニングの仕方や機材の性能の違い、メンテナンスの方法について非常に為になるかと思う。ただ長く乗っているような人は、悪いけれど、参考にしない方がいいと思う。サイクリングにも否定的になるだろうし、レース向けの話だったり、過去の機材はどうのこうのっていう自慢だか何だか分からない話になるだろうから。
レースで上を目指しているような人達は、本当の意味で、そういったレベルだった人の意見をよく聞いた方がいいと思う。それと、一緒に走ってみて、速くて強い人であれば、そういった人からも貴重な意見が出てくるのかもしれない。
<ロードバイクのトレーニングはどうあるべきか?>
機材に関しての話を追求していくと、結局はエンジン次第になるのではないかということになる。そうすると、どういったトレーニングをすれば実力を上げることができるのかといった話になるかと思う。ここで、雑誌やネットで調べると、LSDだったり、ケイデンスがどうのこうの、心拍数がどうのこうの、効率の良いペダリングとは何か、とか色々な情報にあふれているので、自分で試したり影響を受けてくることになるかと思う。というか、自分が実際そうだったので、人のことを言える立場ではないんだけどね。自分の結論は、トレーニング理論は特に覚える必要がなくて、次のことを実践すればそれでいいと考えるようになった。
・キツイ勾配のある峠を繰り返し走る
・ロングライドを続ける
・適切な補給食の摂取
強くなるためのトレーニングはこれだけで十分だと思っている。バイクコントロールに関しても、峠の下りで自然と身に付くし、アップダウンのある峠であれば、自然とLSDみたいなトレーニングになる。強度が足りないと感じられるようになれば、タイムを縮めることに考えをシフトすればいい。登りも鍛えられるし、高速域でのバランスのとり方も鍛えられる。平地ではできないことなんだよな、これって。
自分が脚力に自信をつけるきっかけとなったのは、1回目に二本木峠を登った時に帰りの途中で両足を攣ってしまい、途中でリタイアしたこと。このときは補給が失敗したこともあって、これ以降はきちんとした補給を摂取するように心掛けている。失った汗を補充するのは水分だけではダメで、塩分チャージのタブレットやオレンジジュースがいいようだ。クエン酸やカルシウム、マグネシウムが必要だということを理解してからは、毎日梅干しを食べるようになったし、これによって、翌週までに疲れが残るようなことはなくなった。このことで、翌週での峠の含めたロングライドを無事にこなすことができるようになり、毎週続けられるようになった感じ。サイクリング時の補給だけじゃダメで、日頃の補給が重要ということがよく分かった出来事になる。
今よりももっと強くなろうとする場合は、単純に走り込みの量を増やすだけ。週一回のペースを二回にするだけで、かなりの実力が身に付くと思っている。ただ、そこまで走り込みをするメンタルが今の自分にはないので、現状維持が良いところになるのかな。
問題は、こんな単純なトレーニングで十分なはずなのだが、出回っている情報は違うようだ。色々と理論に基づいたトレーニングをネットや雑誌で紹介されているし、ブログなどを見ると、そういったトレーニングで今日はどうだった、こうだったといった話が出てくるので、最初はそうなのかなと思っていた時期もあった。そのためには、サイコンを買い直してログを取ったり、心拍数でのトレーニングも考えないといけないのかなと思っていたんだよな。
平地ばかりを走っていたり、ローラーでのトレーニングが中心になるのであれば、こういったトレーニング理論は重要になるのかもしれない。だけど、往復100kmぐらいの距離でキツイ勾配のある峠のルートが選べる環境に住んでいるのであれば、そんなことをする必要はないと思っている。
トレーニングについても、機材と同様に色々とウンチクを持っている人は多いと思うし、ロードバイク乗りの心理から見ても、非常に重要な要素になるのではないかと思うだけに、こういったところで深い議論となって話は平行線になることも多くなるのかもしれない。
自分が感じているのは、LSDどうのこうのなんて話はトップレベルの選手に当てはまるようなことであって、サイクリングを中心に考えているような人達には、キツイ勾配の峠を繰り返すだけで十分ということを強く言いたい。こういうトレーニングって、ネットや雑誌で見る限り、それほど主張されているわけではないみたいなんだけどね。でも、自分の経験からしてみれば、峠に通うようになってから太腿の筋肉が付いてきていることを実感できているし、平地でのトップスピードも明らかに上がってきている。平地での走り込みではここまで行かなかったと思うよ。
自分の考えを繰り返す言うことになるが、一番良いトレーニングは峠を含めたロングライドであって、これを実践するためには、とにかく今の実力で完走できるギア比でなければならないということ。この意味で言えば、貧脚用スプロケなんて言葉もいらないし、乙女ギアなんて言葉も出てくるはずがない。実力がついてから、スプロケを変えていけばいいし、そもそも、サイクリングであれば12-30tで十分というか、これがしっくりくる。こういった装備に対して、貧脚だなんてことを言う人がいるのであれば、その人の実績を逆に知りたくなる。
レースレベルの人がサイクリングレベルの人を批評しているのであれば、そもそも筋違いになるし、だったら32tを使用しているフルームやコンタドールに同じことを言えるのかと思っちゃうんだよね。facebookやtwitterを利用すれば本人にメッセージが届けられるのだろうから、直接伝えてほしいと思っているし、どんな回答が出てくるのか教えてほしい。フルームやコンタドールは過酷なレース専用の話に限定しているからといった変な条件付けもあり得ないな。そりゃ、タイムトライアルでは32tは使わないだろうけれど、レースでの選択肢に32tのスプロケを考慮して戦っているわけだからね。あれだけの長距離を走るわけだから、脚の負担を少しでも軽減させる意味で32tは重要なギアになるはず。彼らのようなアスリートで使うギアになるのであれば、一般人にはもっと大きいギアでもいいんじゃないのかと思えなくもない。個人的には34tぐらいあってもいいと思っている。
レースに参加しているのであれば、スポーツの残酷なところで戦っているわけだから、勝つために必要な機材を整える必要があるはずで、それが32tのスプロケに表れていると思うんだよな。そして、実際にそれで大きな実績を残しているわけで、これは否定のしようがない大きな成果になる。ただ、こういったことも、昔ながらのロードバイク乗りには理解できないことになるのかも。
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