2022年2月26日土曜日

油圧ディスクブレーキの感想 Ultegra 8100を使ってみて

数年前のブログ「CAAD12の感想」と同じコースで、3台目の新車の性能を比較。行き先は寄居町の中原平。通勤をチャリから車に変えたことが影響していたようで、やや体に堪える感じだったけど、ロードバイクの性能でカバーできていたのかもしれない。

仕事に忙殺されている状況だったので、この3台目は、サイクリングロードの平地だけでしか走りを試すことができなかったけど、ようやく、平日に休みを取れたこともあって、林道などのアップダウンで真価を試すことができた。まじで、オミクロン株のコロナ禍は早く終息して欲しい。

ロードバイクで行きたくなる場所の一つとして、下にある動画のような道幅の林道がある。こういった林道では、見通しがよくない区間もあるので、対向車や通行人がいた場合には、安全走行が非常に重要。下ハンドルでは、首と握力が限界に近づいた時点で事故につながるリスクが高まるのに対し、アップライトな姿勢で下る方が、前方視界を確保しやすいものの、リムブレーキの上ハンドルではブレーキの効きか課題だった。

CAAD12は、マビックのエグザリット仕様のリムブレーキで、ブレーキはアルテグラ。とりあえず、当時としては、最強の部類に入るブレーキの効きにしていたわけで、油圧ディスクブレーキを装備する3台目で同じコースをたどってしまうと、リムブレーキの効きは「そんなもの」という感覚に陥る。


3台目は、フレームサイズ54:2020モデルのS-works Roubaix、ホイール:Dura ace C50、コンポ:Ultegra 8100、という構成。クランクは170mmの50-34T、スプロケは11-34T。ディスクローターは前後ともに160mm。タイヤはターボコットン28C。ペダルはショップに残っていた最後の在庫だった105。ハンドルは420mmのS-works carbon Hover。サドルはPower Arc Expert。 ペダル+ボトルケージ込みで重量は約8.2kg。


自分の身長からすると完成車サイズ54になるのだが、スペシャライズドの完成車サイズ54のクランクは172.5mm。しかしながら、自分にはクランク170mmがちょうどいい感じなので、完成車を購入していた場合は、交換が必要だったのかもしれない。サイズ52だとクランクは170mmになるけど、それだとフレームが身長とは合わない状態。胴長民族向けに、完成車のクランク長を見直してもいいのではないだろうか。

CAAD12のアルテグラDi2に比べて、フロントディレーラーの見た目のサイズが小さくなり、変速も早くなったのがよく分かるレベルで、変速性能が進化したのを実感した。


リアディレーラーも小型化されたのがよく分かる感じ。CAAD12のDi2はこんなに小さくないんだよね。フロントのアウターで、スプロケのロー側も使えるらしい。いわゆる襷掛けでもOKというのは、使えるギアが1枚増えたことを意味するので、11速から12速に変わったことと合わせて、使い勝手がよくなったと言えるのかも。まー、11速のDi2でも、間違ってアウターローに入れてしまうことがあったけど、Ultegra 8100では、そこまで気にしなくてもいいということか。


ブラケットの形状は、Di2の恩恵もあって、油圧ディスクディスクブレーキなのに、CAAD12のリムブレーキDi2より、やや大きい程度というサイズ。握った感じの違和感は特にない。ステムに付けられるサイコンマウントがお気に入りで、このマウントはGerminとGoproをスマートに付けられるようになっている。


前から見たS-works carbon Hoverハンドル。画像で15mmのライズの状態が分かると思う。ライズがあってもDi2のサテライトスイッチの装着に問題はないと言える。


画像では分かりにくいけど、ディスクローターとパッドのクリアランスは確保されている。前作よりも+10%拡大されたらしい。


リムブレーキモデルだとスプロケの大きさが目立つ感じになるのに対して、リアホイールのディスクローター160mmは、スプロケ11-34Tよりも一回り大きいので、スプロケの見た目の大きさが目立つ感じではない。


今日の天気は雲一つない快晴だったんだけど、そのぶん、風が強めの状況。そんな中で、フロントとリアのディスクローター160mm、さらにリムハイト50mmのホイールによって、横風の影響をどのくらい受けるか気になるところだったけど、CAAD12のコスミックカーボンSLEに比べたら、そこまで注意を要するレベルではない感じ。ディスクローターが横風の影響を受けるのは確かだろうけど、一昔前の50mmディープリムホイールに慣れている人であれば、何の問題はないレベル。


まー、CAAD12よりもコストがかかっているのがこの3台目なので、ロードバイクとしての性能はCAAD12よりも上の位置にあるのがよく分かったライドとなった。最近の油圧ディスクロードの進化は凄いということ実感したし、こういうのに慣れてきたら、リムブレーキに戻れなくなる人は多いと思う。


中原平から東秩父村に抜けていく下り坂は、油圧ディスクブレーキの効果が最も発揮された区間で、上ハンドルで十分なブレーキ性能を有しているおかげで、景色を楽しむ余裕があった。リムブレーキでは下ハンドルで下っていたんだけど、前方視界が悪くなるだけでなく、姿勢と握力の維持が辛いので、景色を楽しむというよりも、変な緊張感のある下りだったんだよね。九十九折り、勾配のある直線の下り坂、リムブレーキの上ハンドルだと手に力を入れ続けなくてはならなかったのが、Ultegra 8100のおかげで、普通に上ハンドルで安全に下れる感じ。

林道区間は雪が残っているし、枝葉が道に落ちているので、ブレーキを掛け続ける状態だったので、リムブレーキのCAAD12で下っていたら、握力が辛い状態になっていたと思う。リムブレーキだと、枝葉がホイールのリム部分にかかってくるのが嫌だったんだけど、ディスクブレーキだと、そういったことがないので、ホイールを変に傷つける心配から解放された気もする。今後、こういう区間は、CAAD12で無理に行く必要はないんだな、という感じ。

そして、高速域でのディスクブレーキのコントロール性がどんなものなのか気になっていたんだけど、林道を抜けた後の速度の出やすい県道では、上ハンドルで十分にコントロールできるレベル。下ハンドルにすれば、もっと速度が出ることになるけど、レバーを強く握る必要がないくらいに、Ultegra 8100の油圧ディスクブレーキは、よく調整されている。ある程度レバーを強く握らないとブレーキが効きにくいリムブレーキとは完全に別物。

速度60km/h以上で走行するのであれば、下ハンドルにした方がいいと思うけど、50km/h以下の速度で下りたいと思うのであれば、上ハンドルでも油圧ディスクブレーキであれば安全にコントロール可能。リムブレーキの場合、上ハンドルだとブレーキの効きに問題があるけど、油圧ディスクブレーキだと、この問題が解決される。

3台目はオールラウンドを目的にしたバイクであり、平地巡行、ヒルクライム、ダウンヒル、グラベル、どこでも対応できることを想定して購入したもの。遠出したいと思った場所が、どういう場面であっても、それなりに対応できるようになるのが油圧ディスクブレーキだということを実感できたライドになった。オールロードを想定するのであれば、Ultegra 8100は外せない選択肢になるのではないだろうか。

油圧ディスクブレーキモデルは、リムブレーキモデルや機械式ディスクブレーキモデルよりも高めの価格設定となっており、普段の取扱いやメンテナンスには注意を要する部分があるものの、走行の安全を考慮した場合、この価格差は妥当なのかもしれない。

2022年2月11日金曜日

2022年モデルの価格上昇がヤバい

 2022年モデルのS-works Roubaix shimano dura-ace Di2の価格は1,650,000円(税込)


対して、それ以前の同じモデルの価格は1,320,000円(税込)。11速のDura-aceとはいえ、Saganコレクションの限定モデルの最上位価格。


そして、2022年のセカンドモデルの価格は979,000円(税込)。12速のUltegra Di2が装備されているもので、この価格にもかかわらず、ハンドルはアルミでホイールは廉価版。上位のカーボンホイール、カーボンハンドルを装着させたい場合、さらに20~30万円の出費が必要。つまり、前年のS-worksモデルとほぼ同じ価格帯。

対して、自分が購入したショップオリジナルの価格は、2022年のセカンドモデルの価格979,000円(税込)を少し上回るもの。これは、値上げ前の価格となっていて、ホイールもハンドルも、2022年のセカンドモデルよりも上級なものを付けているわけで、仮に現状の値上げ状態で、このパッケージの完成車が存在するとなると、約130万円ぐらいになるのだろうか。


完成車よりお買い得になる事態が生じるほど、異常な値上げになっているのが現在の状況のようだ。



右レバーがフロント、左レバーがリアになっているのは、ママチャリからきているという説の真偽について

ロードバイクに限らず、日本の自転車の右レバーがフロント、左レバーがリアになっているのは、ママチャリからきているという説があるようなので、その真偽がどうなのか、自分なりに調べてみた。

この説はネットでもいくつかあるようなので、それらを読んでみると、ロードバイクを中心にした議論から導き出される傾向があるように感じる。レバーが逆転しているのは、日本だけであり、海外では左レバーがフロントになるのが一般的ということらしい。


https://roadbike-navi.xyz/archives/4561/ 

この記事をまとめると以下のとおり

1 ロードバイクのブレーキはフロントがメインで、初心者はリアブレーキに頼りすぎる傾向があり、リアは簡単にホイールロックしてスリップするので、ブレーキングの基本はフロントなのは明白

2 ワイヤーのカーブに余計な力がかからないようにするには、構造的に左レバーのフロントの方が自然

3 右レバーのフロントの方がコントロールしやすい。日本人の多くは右利きであり、メインとなるフロントブレーキを利き手で操作した方が安全だからという理屈

4 日本は左側通行。右手で手信号を出すと、左手のブレーキによってリアがロックするので危険

5 JIS規格により、ママチャリの右レバーがフロントになっているから。

この記事で共感できる部分があるかと問われた時、ママチャリにもロードバイクにもそれなりに乗ってきている自分としては、共感できるところがほとんどない。

まず言いたいのは、ママチャリであれ、ロードバイクであれ、普通に乗っていて、ブレーキでタイヤがロックする状況は異常すぎる。ロックする状況というのは、車や歩行者が混雑するような場所で急な飛び出しが生じるような交通状況であって、そういう区間では、そもそも徐行するのが正解だと思うんだよな。

昔、Vブレーキのクロスバイクを使っていて、ジャックナイフやバニーホップをするために、急ブレーキを含めた操作をしたことがあったけど、ロードバイクのリムブレーキの効き具合だと、それが難しいという印象しかなかった。まー、シューズがペダルに固定された状態のロードバイクで急ブレーキをすることが如何に危険か、最初から分かっていることなので、そういう区間では、そもそも安全に止まれるスピードを意識すべき。自分なら、そのような区間をルートから外す。

それから、直進中であれば、フロントだとジャックナイフにより転倒する危険があるけど、リアのロックは、フロントよりも立て直しが可能な場合がある。最も危険なのは、ハンドルを切っている時にブレーキをロックさせるような状況。ただ、カーブしている時に急ブレーキをする時点で、どんな上級者であっても無事で済むわけがない。

自分がこの記事に違和感を持つのは、自動二輪の免許を持っているから。ロードバイクのブレーキ性能がどうのこうの、っていう意見に違和感があるのも、自動二輪の操作を知っているから。


バイクの正しいブレーキのかけ方が書いてあるので、この記事を読んでみて欲しい。バイクは、右レバーがフロント、左レバーがリアというのが基本で、マニュアル車になると左レバーはクラッチになる。

この記事では、リアブレーキによって、フロントに加重が掛かるということを意識して、という部分まで触れるほどに、ブレーキ理論を説明しているわけだけど、この説明に匹敵するようなブレーキ理論をロードバイク関連ブログでは、残念ながら見たことがない。

仮に、右レバーがフロント、左レバーがリアになっているのは、ママチャリからきているという説が真実だとすれば、バイクはどうなんだ?って話になる。バイクもママチャリ基準で作られていると本気で考えているのだろうか?

バイクはクラッチ操作を含めて、現在の配置に落ち着いたという話があったはず。クラッチ操作は右手、左手、右足、左足、どうすればいいのかということで、試行錯誤を重ねて、左レバーでクラッチ操作をする方がレースで結果が出せるということになった。そして、右レバーがフロントになったし、リアブレーキは右足で操作、シフトチェンジは左足、という分担になっている。

もしも、バイクのクラッチを右レバーで操作することになっていたら、バイクのフロントブレーキは左レバーになっていたと思う。開発でテストされたと思うけど、結局は採用されなかった理由が何かあったのではないだろうか。

ワイヤーの取り回しについては、油圧ディスクブレーキの登場により、過去のものになってしまったと思う。まー、海外と逆の配置になっている自分のロードバイクに乗っていて、ワイヤーの抵抗を感じたことはほとんどないし、油圧ディスクブレーキの性能と比較してしまうと、ワイヤー程度の問題をクリアしたところで、ワイヤーを使っていない油圧ブレーキでは議論する意味がない部分になってしまうだろうから。

日本の左側通行は、イギリスに倣ったということになると思うけど、世界史的には、左側通行が標準だったわけだし、日本が異質ということではないはず。これはフランスのナポレオンによって変えられた部分で、ナポレオンの占領を受けなかった地域では、確か、そのままになっているんだよな。

昔の自転車屋は、同時に原付を販売している店があったと思う。ブレーキをどっちに合わせた方がいいのか?と考えた場合、より速度の出る原付に合わせた配置にした方が、お客さんが事故にあう確率も低くなると考えたのではないだろうか。両方を所有するお客さんからすれば、原付の配置と同じにしてくれた方が混乱しないだろうから。

60代以上の人は、原付をノーヘルで乗っていた時代なんだし、原動機付き自転車というくらいに、原付は自転車の延長という認識だったわけだから、ママチャリを含めた自転車も原付にあわせた配置にしたのではないかというのが自分の仮説になる。真実がどうなのか知りたいけど、誰か知っている人がいるのだろうか。